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金の指輪。
それは村に伝わる昔話ってほどには昔じゃない頃のお話で出てくる物だ。
たしか、今から百年くらい前、けがをした旅人がいた。
その旅人は明らかに人間じゃなかったんだけど、村の人たちがそれを気にせずに看病してあげたらもらったってやつ。
そんな話はあんまり信じてない。
けど、もらうのはまずくないか?
「村に戻るまでおまえが預かってればいいだろ」
背後から鈴本陸(すずもとりく)の抑揚のない声がした。
いつから後ろにいたのだろうか……。
陸は少し変わっているというか……周りと関わらないようにしていて、話しにくい感じがある。
最近は慣れてきたけど、前まではちょっと苦手だった。
でも、言ってることはだいたい正しいし、ほかに方法も思いつかないから従っておくか。
「じゃあ、そうする」
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