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三日後、村を出発した私たちは、村のかなり西の方にある都市に向かっていた。
草原の中の道、といってもあまり人が通らないような細い道を歩いている九人の先頭を歩いているのは、悠ではなく花井たつま(はないたつま)だ。
たつまは村の生まれだが、途中で都市に移り住み、二年前まで都市で暮らしていたため、都市までの道を覚えていた。
(もともと分かれ道なんて二~三あるだけだから覚えることはそう難しくないのだが)
「たつま、ここらで一旦休憩にしよう。
ずっと歩き続けると都市に着く前に疲れてしまうから」
一番後ろでみんなの様子をみていた悠がたつまに声をかけ、九人は一旦立ち止まる。
「今日中に都市につけそうか?」
「大丈夫さ。夕方には着くと思うよ。」
たつまと悠の会話をなんとなく聞きながら、里奈はリュックから水筒を取り出し、お茶を飲んでおく。
お母さんがいつも水分補給はしっかりするようにって言っていたから、喉が乾いてなくても飲み物を飲んでおくことにしているのだ。
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