すれちがい。

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「郁……?」 七条が問掛けると 「啓太が何を考えてるのか分からない……」 紅茶に映る自分の顔を見つめながら西園寺はポツリと呟いた。 「私と…ッ…そのっ……出来ないからって……他の奴らと仲良くしてッ……」 言い終わった途端、西園寺の目からは一筋の涙が流れ、コップを持つ手は震えていた。 「啓太はッ…私の……ッ…体……だけが目当てだったのか……?」 「直接聞いてみたらどうですか?」 「無理だッ……そんな事をしたらッ………」 「…肯定されるのが恐い?」 「ッ………」 「伊藤くんに限ってそんな事有り得ないと思いますが…」 ――分かってる。 でもこの醜い感情を抑える術が分からない。 体をほんの少し繋げてないだけでこんな風になってしまうなんて。 私は一体どうしたんだ…――。 「郁…。郁が嫉妬する姿を僕は初めて見た気がします。」 「は…?」 「クスクス…それだけ郁が伊藤くんを好きになっていたとは…。正直ちょっとショックです。郁の一番はいつも僕だと思ってたのに。」 「なっ…!?バカッ!何を言って…」 「しぃ~。もう黙って…?」 必死に言い返す西園寺を無理矢理黙らせると、七条は西園寺を優しく抱き締めた。 「郁がこれだけ伊藤くんを想ってるんです。伊藤くんの一番も、きっと郁ですよ…。」 「………啓太の一番が…私……」 「えぇ。僕が保証します♪」 だってあんなに分かりやすしですしね、っひっそり付け加えたのはきっと誰にも聞こえてないだろう。 ―と、その時。
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