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いや、待てよ?
そういえば、この位置にぬいぐるみが置いてあった気がする。
初デートの時にゲーセンで取った、黄色くて赤いTシャツを着た蜂蜜大好きの熊のぬいぐるみ。
確か、衣装箪笥の上に置いてあった。
うん。そうだ。置いてあった。
と、いうことは。
頭だけが突き抜けているのではなく、ぬいぐるみになった、という見解が正しい気がする。
それだと身体の何もかもが動かせないのも納得できる。
綿の身体なのだから動かせるわけがない。
ビーズの目なのだから動かせるわけがない。
ふむふむ。
じゃあ。
何故、僕はぬいぐるみになったのだろうか?
前述した通り、気絶前の記憶に関しては完全に抜けてしまって思い出せないのだが、おそらくそこに原因があるのだろう。
彼女のぬいぐるみになる理由、ねぇ。
魔法とか、そんな非科学的なものが原因になるのだろう。
魔法と言えば、自ら望んでかけられるイメージがあるが、別にぬいぐるみになる願望はないわけだしなぁ。
じゃあ、呪いか? 随分ファンシーな呪いだなぁおい。
普通、呪いと言えば苦しんだり殺したり……
殺したり……
………………
………………
………………
あぁ……
思い出した……
そう言えば今日、僕はデートに行く途中に車に跳ねられたんだった。
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