4人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
まぁ、そんな自己紹介を脳内で終えたところで、状況は何も変わらないのだけれども。
休日の昼間から自分の部屋でごろごろして漫画を読んでいる。
自堕落した休日の過ごし方だった。
寮生活をしているのでそういう生活になりがちである。
一応言っておくが、友達がいないわけじゃないからね? ちゃんといるからね? 今日はたまたま遊んでないだけだから。
と、ここで従姉の一(はじめ)ちゃんからの電話が鳴った。
遊びの誘いを期待しつつ私は電話をとった。
「はいもしもし?」
「もしもしランちゃん? 今どこにいるの?」
「自分の部屋だけど、どうしたの?」
私が答えると一ちゃんはふぅと息をついた。
「なら一安心だけど……ねぇ、テレビのニュース見た!?」
「見てないけど……」
むしろ女子高生が昼間にニュースを見ている可能性は少ないと思うのだが。
「そっか。じゃああたし、今からそっちに行くし絶対に外を出歩いちゃダメだよ!」
そう言って電話が切れた。
何がなんだがわからないのでテレビをつけてみる。ニュース番組でちょうど私の住んでいる町の映像が流れていた。
『今日午前11時頃、馬の覆面を被った男が女子小学生20人以上に抱きついてキスをしようとする事件が発生。容疑者は今だに捕まっておらず――』
「私は女子高生じゃあああ!!!」
リモコンをテレビの画面に投げつけた。
パリンと画面は割れてリモコンが突き刺さる。
一ちゃんが来たらとりあえず小一時間説教しようと思う。
誰が小学生だコラ。こちとら気にしてんじゃワレ。
まぁ怒る気持ちとテレビの請求書は一ちゃんにぶつけよう。
とりあえず、割れた画面の破片を拾って一ちゃんを待つ。
すると、呼び鈴が鳴った。
随分と早いな。
近くから電話してたのだろうか。
私はすぐさま玄関に向かい、ドアを開けた。
そこには一ちゃん――ではない何がいた。
白い毛の、馬の顔をした男が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!