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馬の顔をしている以外はごく普通の、人間の男のようだった。
手も足も、人間のそれで。
目も鼻も、馬のそれだった。
ここで私はさっきのニュースを思い出す。
ニュースに出てたのは馬の覆面を被った男。
今私の目の前にいるのは文字通り馬面の男。
全く無関係じゃあないだろう。
私は咄嗟にドアを閉めた。
しかし、馬男はドアの隙間に足を挟み込んでそれを阻止する。
「すみません、怪しい人じゃないです! 話を聞いて下さい!」
馬男は喋った。流暢な日本語で。
いや、まぁそりゃあ身体が人間なのだから喋っても不思議じゃないっちゃあ不思議じゃないのだけれど。
「確かに怪しい人じゃないけど、怪しい馬だよね!? 止めてこの変態!」
履いていた靴で馬男の足を踏みつける。しかし馬男は声もあげず平然としていた。
「変態は否定しませんが、話だけでも聞いて下さい!」
「変態は否定してよ! 何!? 私に何の用なの!?」
馬男の足を何度も踏みつけながら私は訊いた。
すると、馬男はドアの隙間から顔を覗かせて私の顔を見た。
「僕はあなたのことが好きなんです!!」
白馬の王子様ならぬ、白馬の男に告白された。
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