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僕は自宅から駅までの道を全速力で走っていた。
朝ご飯を食べ損ねた結果愛しの胃袋ちゃんがおねだりしているが、それについては学校に無事到着してから考えよう。
まずは、電車に乗れるかどうかである。
次の電車を逃すと遅刻確定になるのでそれは断じて避けたい。
遅刻というより、出席日数不足による留年を避けたいのだ。担任曰くすでにカウントダウンが始まっているらしい。おぉ怖い怖い。
いやぁ我ながらギリギリを生きているなぁ。
とか、そんな悠長なことを考えられる程度には余裕がある。
余裕というか、慣れというか。
ともかく、遅刻or遅刻ギリギリの僕にとってはこれくらいの修羅場は日常茶飯事で、文字通り朝飯前なのだ。
ゴメンね、胃袋ちゃん。後であなたの大好きな購買部のコロッケパンあげるから。
と、胃袋ちゃんへのお詫びの品もとい朝ご飯を考えているその時だった。
信号のない、住宅地の十字路。普段は車なんて通らないので安全確認もせず、普通に直進する道。
そんな十字路に差し掛かったところで左側から何かが向かってくるのを感じた。
感じただけで、僕は何も動作を起こさなかった――と言うよりできなかったのだけども。
気付いたら僕の身体は宙に浮いていた。
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