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「うるさいな!兄貴にはこの純粋な俺の気持ちがわからないのか」
「さっぱり」
「ああ…、こんな冷淡な兄を持つ俺って世界一不幸な少年だよ」
よっぽど彼女にフられたことがショックだったのか、隆志はソファーの上で足を抱え込み、顔をその間に埋めてしまった。
「あのなあ…」
「いいじゃん…、素の自分を彼女の前でさらけだしても」
「隆志…」
「好きだったし、本気だったし」
「…」
「隆志、ショックなのはわかるけれど、弱みを見せるのはやめなさい」
キッチンから母さんが言った。
隆志が埋めていた顔を上げる。
「恋愛なんて、互いに好きだから成り立つのよ。本当に自分の全てを愛してくれている人を見つけなさい」
「そんな人、いんのかよ」
少し、隆志がムッとした顔をしながら言った。
その顔を見て、母さんが吹き出す。
「いるわよ」
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