1:夜闇の逃亡

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―――なのに。 「えと、あっちの黒髪で眼鏡かけてんのがケイヤ・イヴ。茶髪の横分けがタヤク・ルラーナ」 などと、彼はサラリと答えた。 あまりといえばあまりのことに、タヤクもケイヤも言葉が出ない。 そして心中、この少女の警戒心を分けてもらえ、と叫んだ。 「マサア、ケイヤ、タヤク・・・・・・」 ミナミは教えられた名を指折り復唱し、満足そうに笑った。 暗くてよくはわからないが、年相応に笑う彼女をみてマサアの口元もつられて綻んでいた。 「で、えーっと、ミナミ? 不法侵入ってどういうこと?」 いったん間を空けてから再度マサアが質問すると、先ほどの笑顔はどこへやら。 彼女はその幼さに不釣合いな表情を浮かべた。思わず三人は顔を見合わせる。 そして。 ミナミは、光を閉ざしていたカーテンを・・・・・・開けた。
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