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―――なのに。
「えと、あっちの黒髪で眼鏡かけてんのがケイヤ・イヴ。茶髪の横分けがタヤク・ルラーナ」
などと、彼はサラリと答えた。
あまりといえばあまりのことに、タヤクもケイヤも言葉が出ない。
そして心中、この少女の警戒心を分けてもらえ、と叫んだ。
「マサア、ケイヤ、タヤク・・・・・・」
ミナミは教えられた名を指折り復唱し、満足そうに笑った。
暗くてよくはわからないが、年相応に笑う彼女をみてマサアの口元もつられて綻んでいた。
「で、えーっと、ミナミ? 不法侵入ってどういうこと?」
いったん間を空けてから再度マサアが質問すると、先ほどの笑顔はどこへやら。
彼女はその幼さに不釣合いな表情を浮かべた。思わず三人は顔を見合わせる。
そして。
ミナミは、光を閉ざしていたカーテンを・・・・・・開けた。
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