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必死に考え無いようにしていたの。
だって、考えだすと泣いてしまいそうだったから…
思い出そうとしても、そこにあるはずの記憶はなくて、真っ暗な闇があるばかりで
不安に飲み込まれそうになった。
「大丈夫だよ。分かるまで、一緒にいるから」
おっきい手で頭を撫でてくれながら、真っ直ぐに言ってくれる伊藤さんの言葉に、こらえていた涙がこぼれ落ちてしまった。
「あっ、ごめんね!本当に無神経でした」
頭を下げながら言う大澤さんに、あわてて首を横にふる。
「いえ、すみません。…何も答えられなくて…」
「とりあえず、警察に連れてってやったらいんじゃないか?お前ら今日休みだろ」
そういえば、坂口さんだけスーツ姿だ。
大澤さんは私服で、伊藤さんはまだスウェット。
あたしは……えっと?
柔らかな生地のトレーナーを袖を折り返して着てる……それも、おっきなトレーナー……
自分で着替えたの?
違うような気がする…
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