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ぶすっとした顔のまま無言であたしの肩を抱く伊藤さんの代わりに、しぶしぶと言った顔で坂口さんが説明を始めた。
「…昨日は、珍しく翔が行けなくて、俺と英で飲みに行った
2人でカウンターに座ったんだけどな、反対側の端にお前が1人座っていた
…飲む雰囲気からして、やけ酒に見えたがな」
ここで一旦言葉を切ると、探るようにこちらを見る。
「大方、失恋でもして自棄になって煽ってんだろうと、俺は対して気にも止めなかった。
まぁ、英は違ったみたいだがな?
それから、英がちらちら心配げに見る他はなんの接点もなかった」
「なっ!なんか俺が変態みたいじゃん!」
「事実だろ。英は黙ってろ。
無言で大量に酒を煽る女は、めちゃくちゃ目立っていた。
それが突然会計を済ますと、ふらふら雪のなか出ていった。
…まぁ、これでなんの関わりもなく終わる筈だった。だが、その後を何やら柄の悪そうな連中が後を追いかけて行ったんだ。
英はしばらく追いかけようか迷ったあげく、関わるのは止めろって言った俺を置いて追いかけていった。
とりあえず俺はゆっくり会計して店を出た。
そしたら英が気を失ってるお前を、自分の上着にくるんで抱き上げたところだったんだ。
俺が知ってるのは以上だ」
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