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うっ、なんかなぁ……
やけ酒……ってことは…あたしは二十歳以上なのかな?
お酒を飲んでた = 成人では安易かもしれないけど…
そこで、いつの間にかあたしの肩を抱く手を離して、気まずげに口もとに手をやっている伊藤さんを見上げた。
ってことは、真相を知っているのは伊藤さんだけって事だよね?
あっ、あと……記憶を無くす前の…あたし
「で、なんで…るぅちゃんは気を失ってたの?」
もっともな大澤さんの言葉に
「…まぁ…それは、ねぇ…………」
歯切れ悪く答える伊藤さんは、心配そうにあたしの顔を見る。
「あっ、あたしは大丈夫です
………教えて下さい、何があったのか」
「…うん、えっとね
俺が追いかけたのは、隆哉が言うようにちょっと悩んでからだから……
遅くなっちゃったんだよね……助けるのが…」
相変わらず歯切れの悪い口調で言う伊藤さんの言葉と、ズタズタになった服を見たら何となく分かると思う。
「大丈夫ですから、言ってください」
たぶん大丈夫には見えない青い顔をしてる自覚はあったけど、ここで引き下がる訳にもいかない。
「…3人の男が…店の前で
瑠璃ちゃんを捕まえて、た
…服は、俺が行った時には、もうあんな感じだったんだ…
ごめんね、俺が行くのが遅かったから…」
「…それは……えっと…」
「英が行った時は、るぅちゃんはもうヤられちゃってた訳~?」
ストレートな大澤さんの言葉に、驚いたけど……ちょっとホッとした。
だって聞かなきゃいけないけど、自分で言葉にするのは……かなり躊躇われた。
「翔っ!…」
「だって一番知りたい事でしょ?記憶がないなら尚更だよね」
「…そんなんじゃないよ、店先だし…。たぶん引き留めようと、力任せに引っ張ったら破れたんだと思う」
安堵して肩の力が抜けた。
確かにズタズタになっているのは薄手のブラウスだけで、黒いデニムのショーパンは少し汚れているだけだ。
ってか、デニムは破れないよね…
「やっ、破れてたのは上だけだから…」
真っ赤になって言う伊藤さんが、こんな時だけど可愛く見える。
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