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「…好きに…すればいい」
苦し紛れに吐き出した言葉は、自分が言ったはずなのに胸のなかでズキリと響いた。
「もちろん、言われなくても好きにするよ」
何もしないうちに引き返す腰抜けには渡さない。
翔が付け加えた言葉は、今の自分には反論の余地もないくらいピッタリで、顔見る事も出来ずに黙ってリビングを後にした。
「隆哉、盗み聞きなんて趣味悪いよ~」
「聞きたくて聞いた訳じゃない
お前……本気か?」
「何が?るぅちゃんを自分の物にしたいってのなら、本気だよ~」
「そうか…」
「隆哉はどうするの~?」
短く返事をして外を見る隆哉に、眠そうに翔が聞いた。
「…また、雪だ」
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