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しばらく車に揺られて、少々気分が悪くなった頃、やっと目当ての病院に着いた。
伊藤さんに支えられて待ち合い室に入ると、先に行っていた坂口さんが受付で何やら書いている。
あたしを椅子に座らせると、伊藤さんは無言でどこかへ行ってしまった…トイレかな?
取り合えず、おとなしく座って痛い足を見ていた。
(大澤さんはあたし達を入口で降ろして、駐車場に車を停めに行ってまだ来ていない)
「ぴゃっ!」
「ククッ、なに?ぴゃっ!って」
不意に首筋に冷たい物が触れて、思わず変な声が出てしまった。
慌てて後ろを振り向くと伊藤さんが、ジュースの缶を持って笑っている。
「びっくりしましたよ~」
「はい、車に酔ったんでしょ?」
オレンジジュースの缶を、受け取りながら不思議になって、聞いてみた。
「なんで…」
「乗ってる時から気が付いてたんだけどね。予約の時間が迫ってたから、途中で休めなくてごめんね?
ここなかなか予約取れないから、遅れんのまずかったんだよね」
柑橘系はすっきりするでしょ?と、言いながら隣に座って自分はコーヒーを飲み始めた。
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