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お礼を言って缶を開けて…
って開かない…!
どうやら、あたしは缶を開けるのが下手らしい…うまく爪が引っ掛かってくれなくて、半泣きになった時。
「もしかして…開けらんないの?」
「もしかしなくても、開けらんないんです…」
「これ、開けやすい方のだとおもうんだけどね」
伊藤さんは、笑いながらプシュッと開けてくれた。
「…ありがとうございます」
口の中に爽やかなオレンジの香りが広がって、むかついていた胸もスーッと楽になった。
ほっとため息を吐き出して、手の中の缶を見つめる。
あたしって、本当に自分の事だけ忘れちゃったんだ……だって、頭の中にはちゃんと缶の開け方は入ってる。
なのに、開けようとしてみるまで、自分が開けるのが下手だなんて、思いもしなかった…
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