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「…記憶喪失ってこと?」 「…よく分かんないですけど…たぶんそんな感じです…」 しばらくの間黙ったまま口元に手を当てていたその人は、半信半疑といった顔で聞いてきた。 「あの…失礼ですけど…あなたはあたしの何ですか?」 もし、恋人とかだったらとんでもなく失礼だなと思いながら、恐る恐る聞いてみる。 「ん?拾い主?」 なぜか疑問形で返された。 拾い主?恋人ではないみたい… 「君が雪の道に倒れてんのを拾ったの。てか、命の恩人?」 なぜかまたもや疑問形…… 「あっ、ありがとうございます。……じゃあ、知り合いとかじゃないんですか?」 「違うよ。ちなみに名前も知らないんだ」 どうしよう……頼みの綱も切れたみたい… あたしの目に、涙がゆっくりと滲んできたのを見ると、慌てて布団の上にバックを置いた。 「あっ!これたぶん君の荷物だよ、手がかりがあるんじゃないかな?」 俺は見てないんだ、まさか記憶がないなんて思ってなかったから…… そう言いながらベッドの端に座るのを横目に、そっとやっぱり見慣れないバックを開けてみる。
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