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洗い終わったグラスを水切りカゴに置いてリビングに戻ると、すでにドライヤーを持って待ち構えている翔くんがいた。
「怪我人を余計に歩かすなって、隆哉に頭叩かれちゃったぁ……」
ひそひそと、耳もとで言う。
「もうあんまり痛くないし、大丈夫ですよぉ?」
「だよ、でしょ。
でもね~お風呂入ったし湿布新しい貼らないとねぇ」
その時、いないなぁと思っていた英ちゃんが、白いビニール袋を持って入ってきた。
ソファーに座っているあたしの前の床に胡座をかいて座ると
「はい、足だして?」
と、袋から湿布と包帯を取り出す。
「あっ、自分でやります……」
「英にやってもらったらいい。こいつバスケ部だったから、そういうのは慣れてるからな」
今まで黙っていた隆哉さんに言われて、なんか申し訳ないけどお言葉に甘えることにした。
バスケ部と湿布の関係は、いまひとつ分からなかったけれど。
「す、すみません……お願いします」
「すみませんじゃないの、ありがとうでしょ?」
「ぁ……ありがと……」
「どういたしまして」
翔くんに言われて言い直すと、ニコッと笑った英ちゃんは、そっとパジャマの裾を捲った。
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