1

51/51

1074人が本棚に入れています
本棚に追加
/728ページ
「う~ん……るぅちゃんは20歳ってことにしとこっか?お酒飲んでたらしいし~」 「あ、はい……うん?」 「そうそう。ところで、みんな寝ないの?僕、明日仕事だし寝るよ~?」 翔くんの言葉に、みんな寝室に引き上げる事にした。 あたしの髪はいつの間にか綺麗に乾かされていて、トリートメントまでされていた。 ……いい匂い。 「いい匂いでしょ?僕のお気に入り」 「うん、ありがと」 ここの人達は心が読めるらしい…… そんな事を思いながら、あたしもおやすみなさいをして部屋に入った。 なんかあわただしくて、つい……というかあえて……? 考えるのを後回しにしてたけれど、一人になると大きな得体の知れない闇に飲み込まれそうになる。 ……あたしは誰……? ……どうして記憶がないの? 『焦るのは禁物だよ。ひとまずゆっくりしながら、徐々に記憶が戻ってくるのを待ってみてね』 坂口先生の言葉に必死にすがりながら、襲ってくる恐怖から逃れようと足掻くしかなかった。
/728ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1074人が本棚に入れています
本棚に追加