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「う~ん……るぅちゃんは20歳ってことにしとこっか?お酒飲んでたらしいし~」
「あ、はい……うん?」
「そうそう。ところで、みんな寝ないの?僕、明日仕事だし寝るよ~?」
翔くんの言葉に、みんな寝室に引き上げる事にした。
あたしの髪はいつの間にか綺麗に乾かされていて、トリートメントまでされていた。
……いい匂い。
「いい匂いでしょ?僕のお気に入り」
「うん、ありがと」
ここの人達は心が読めるらしい……
そんな事を思いながら、あたしもおやすみなさいをして部屋に入った。
なんかあわただしくて、つい……というかあえて……?
考えるのを後回しにしてたけれど、一人になると大きな得体の知れない闇に飲み込まれそうになる。
……あたしは誰……?
……どうして記憶がないの?
『焦るのは禁物だよ。ひとまずゆっくりしながら、徐々に記憶が戻ってくるのを待ってみてね』
坂口先生の言葉に必死にすがりながら、襲ってくる恐怖から逃れようと足掻くしかなかった。
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