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「まぁ、みんな人と接するお仕事だからね~」
「そういう問題かなぁ?」
「そういう問題だよ~」
ムグッ!モグモグ……
翔くんは、あたしの口にクッキーを押し込んでニコニコしている。
うん、クッキー美味しい。
……じゃなくって!
「あ、あの色々教えてもらってもいいですか?」
「何でも教えてあげるよ~、手取り足取り」
……なぜ翔くんの表情が、とっても色っぽいんでしょう?
「キッチンの使い方とか、皆さんの好き嫌いとか、なんであたしがお借りしてる部屋があんなに綺麗なのかとか、ルームシェアしている上でのきまりとか」
「……ちょっと待って、一個ずつ答えるから」
そこは、はいって大人しく口を閉じておく。
だってね、それはやっちゃダメだったんだよって後からなると困るもんね?
できるだけ迷惑かけたくないんだもん。
「好き嫌いはね~僕は甘酒が嫌い。あっ、お酒は好きだよ~。
そんで隆哉と英は……忘れちゃった~」
な、なんて参考にならないんだ!
「……今日の夕ごはんは、どうしましょ?」
「るぅちゃんの愛情たっぷりなら、なんでもいいよ~」
そんなきれいなお顔で満面の笑みで言われても、なんのアドバイスにもなってないことには変わりないですからね?
「じゃあ愛情たっぷり甘酒かけごはんと、甘酒スープにしますね」
「ちょ、ちょっと!そんな食べものないでしょー!」
はい、ないと思います。
なんだか美味しくなさそうだもん。
慌ている翔くんを横目に、冷蔵庫を覗かせて貰った。
昨日空っぽだった冷蔵庫のなかには、いつのまにかそれなりに食材が揃っている。
「ひき肉とキャベツ……あっ!ニラもあるし、餃子にしよっかなぁ」
「るぅちゃん酷い……」
「餃子きらいな人い……る?」
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