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行こっか、と手を差しのべる彼の笑顔があまりにも……男の人に失礼かもしれないけれど……可愛くて、思わず見いってしまった。
笑った時に目元がくしゃってなって、整った顔が一気に親しみ安くなる。
少し茶色がかった柔らかそうな髪は、朝だからか少し有らぬ方向に跳ねていて
きれいな二重の目、すっとした鼻や、柔らかく微笑んでいる口元、これまたきれいな輪郭を、少しクセのある髪が柔らかい雰囲気にしている。
記憶がないあたしでも、彼がイケメンって部類に入るって事は分かってしまった。
こんなことが分かっても大した意味はなさそうなのに……どうせなら、もっと別な事を覚えてたかったぁ……
だって意識してしまった途端、鼓動が早くなってしまうもの。
黙ったまま見つめているあたしに、首を傾げた彼は。
「どうしたの?もしかして…足が痛いとか?」
と、聞いてくる
そのせいで止まっていた訳じゃないけど、左の足首が熱をもって痛いのは確かだ。
遠慮がちにうなずくと、彼は躊躇いもなく布団を剥いで、あたしの事を抱き上げた。
…!?……だ、抱っこっ!
しかも、いわゆるお姫さま抱っこってやつー!!
恥ずかしくて一気に顔が熱くなる。
「じゃあ、リビングで手当てしよっか」
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