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フフッ、可愛い。
「べつに怒ってないですよ?」
怒られた小さい子みたいな反応が可愛くて、思わず笑ってしまった。
「よかった、やっと笑ってくれた」
英ちゃんは柔らかく微笑みながら、また手元の小麦粉の固まりをいじり始めた。
あっ、あたし…どんな顔してた?
何かにすがりたくて、怖くて……
…情けない顔をしていた、はず…
「…ごめんなさい」
お世話になる身で、気をつかわせるなんて言語道断。
決してしてはいけない事。
慌てて笑顔を作り、食事の支度をしようと背を向けた。
「瑠璃…?なんか勘違いしてない?」
英ちゃんにそっと引き寄せられて、そらした目の中を覗き込まれた。
…英ちゃんは、かなりかがんでいる。
「責めた訳じゃないよ?
瑠璃がつらいのは分かってるけど、瑠璃には……笑顔が似合うから…笑ってくれて嬉しかったんだ」
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