2

17/27
前へ
/728ページ
次へ
悲しくなって下を向くと、優しい手がそっと髪を撫でた。 「あのね、小麦粉のうさぎなんてまた作れるから、そんな悲しい顔しないで?」 でも… 「あ~っ!英がるぅちゃんを~」 「なにもしてないだろ!」 「…なでなでしてる~、ずるい」 あぁ、翔くんが帰って来たみたい。 遅いんじゃなかったのかな? それにしても、本当に仲良しさんだねぇ。 「ただいま。いい匂いだな、餃子か」 あっ、隆哉さんも帰ってきた。 「おかえりなさい、今用意しますね」 急いで餃子の元に行こうとすると、隆哉さんに腕を掴まれた。 「はい?」 「敬語は、無しじゃなかったか?」 っ! 耳元でささやく声が、急速に心拍数を上げていく。 …いい声……じゃなくて! いや、いい声なんだけども… 「あのぉ…離して…?」 今あたしは、すっぽりと隆哉さんの腕の中に閉じ込められている。
/728ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1074人が本棚に入れています
本棚に追加