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悲しくなって下を向くと、優しい手がそっと髪を撫でた。
「あのね、小麦粉のうさぎなんてまた作れるから、そんな悲しい顔しないで?」
でも…
「あ~っ!英がるぅちゃんを~」
「なにもしてないだろ!」
「…なでなでしてる~、ずるい」
あぁ、翔くんが帰って来たみたい。
遅いんじゃなかったのかな?
それにしても、本当に仲良しさんだねぇ。
「ただいま。いい匂いだな、餃子か」
あっ、隆哉さんも帰ってきた。
「おかえりなさい、今用意しますね」
急いで餃子の元に行こうとすると、隆哉さんに腕を掴まれた。
「はい?」
「敬語は、無しじゃなかったか?」
っ!
耳元でささやく声が、急速に心拍数を上げていく。
…いい声……じゃなくて!
いや、いい声なんだけども…
「あのぉ…離して…?」
今あたしは、すっぽりと隆哉さんの腕の中に閉じ込められている。
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