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「…コウちゃんのお嫁さんになる…」
ハッとしたように私を見て、目があう。
「私、小さい頃コウにそう言ったよね」
「凛、おまえ覚えて…?」
「思い出したの。コウはずっと覚えてたんでしょ?」
そんなことは聞かなくてもコウの表情から分かる。小さな頃のあの一言をずっと覚えていてくれているんだってこと。
「これ、見て」
バックから絵本を取り出す。最後のページを開いて見せた。
「これは、コウが作ってくれた指輪だよ。私にとっても大切なものだったんだよ。だから、こうして取っておいたんだと思う」
ずっと忘れていたけど、あの時の私にとって特別なものだったからこそ、こうして長い時を経て今ここにあるんだって分かる。
「ボロボロになっちゃってるけどね…。これを見たら小さい頃、私がコウに言った言葉を思い出したの」
「…凛」
「こんな大切なこと、忘れてて。今までごめんね」
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