十八章。

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夏休みも終わり、いつもと変わらない高校生活が始まった。 私達が付き合い始めたのを知っているのは、夏帆と南君だけ。 隠すつもりもないけど、あえて他の人には言うつもりもなかった。 この2人が知っていてくれれば、それでいい。私もコウも同じ意見だった。 付き合い始めたことを2人は喜んでくれた。私達はそのことが普通に嬉しかった。 嬉しくて、幸せで。 自分のことしか考えていなかった。 他のことを考える事すら、忘れていた。 その日、南君の家に行くというコウとは別々に帰る事になった。 私は1人で改札を出た。 コウと一緒に帰らないのは、そうそうある事じゃない。ほとんど毎日のように一緒に帰って来ているのだから。 いつもと同じ時間。変わりばえのしない風景。 違うのは隣りにコウがいないだけ。 ただ、それだけ。 それだけだと、思っていた。
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