最終章。

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最後のページ。茶色に変色している小さな何か。 「花?…押し花…?」 私が挟んでおいたのだろうか。そっと手にとってみる。 何かを思い出しそうな気がした。 「これ…」 あの夏の日。お祭りにコウといけなかったあの日。夢を見ていた。 コウに向かって、何かを言っていた私。あの時は何を言っているのか分からないまま目が覚めた。 私はコウに何かを話していた。あの時は何を言っているのか、分からなかった。 「…あぁ、そうだ。私はコウに言ったんだ」 今まで忘れていた。そうだ。コウは、ずっとこの言葉を覚えていてくれていたんだ…。 子供の頃に言った、あの言葉を。   広場の隅にある、その場所でコウと向き合った。 「ね、私達、よくここで遊んだよね」 「そうだな」 「コウは男の子なのに、花で遊ぶのも付き合ってくれたよね。私、凄く嬉しかったんだ…」 「うん…」 「コウは花で色んなもの作ってくれたよね」 「…そうだな」 そう言ったコウの視線の先は白いシロツメクサを見ているように見えた。
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