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「別に凛が謝ることじゃないよ」
「でもっ」
「いいんだ。今、こうして一緒にいられるから、いいんだ」
「コウ…」
生まれてから、ずっと一緒にいた。私はコウが大好きだった。一緒に居すぎて、近くに居すぎて、自分の気持ちを見失っていた。本当に大切な人は、ずっと前からコウだったのに。それは今も変わらない。いや、前よりももっと、もっと大切な存在になった。
「あのね、あの時言った言葉は今も変わらないから…」
私の言葉を聞いたコウの眼差しは優しい。日差しを受けたその顔が私には眩しく見える。
コウとなら、きっとこの先も大丈夫だと、そう確信出来る。
「やっぱり俺は……」
「えっ、なに?」
「なんでもないよ。ほら、行くぞ」
「…う、うん」
凛の手を取る。…やっぱり俺は溶けることのない魔法にかかったんだ。でも、こんな魔法なら一生溶けなくていい…。
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