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「ごめんね」
「…ん」
「もう離れたりしないからね」
「うん」
そんな言葉は要らない。
こうして叶多の腕が私を包んでくれているだけで十分に伝わる。
…貴方の深い愛情が。
叶多の深い溜息が耳元をくすぐる。それと同時に私を抱きしめる逞しい腕に力が入った。
いつの間にこんなにも“男”になったのだろう。それは制服からスーツに身を包んでいるのもあるかもしれないけれど…。
雰囲気が落ち着いた…なのか。
…だけど、
「限界…かも」
「え?」
再度深い溜息が漏れた。
「もう少しだけ大人になった余裕見せたかったんだけど」
「うん?」
意味がわからず首を傾げる。頭1個分以上の差がある叶多を見上げると、耳を真っ赤にした彼が戸惑う。
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