愛色-AIIRO-

１．

－－…３２歳の春。

勤め先でもある業界２位のシェアーを誇る化粧品会社“フェアリー”のタワービルの窓からは咲き誇る桜の高見見物が出来る。

今年もまた感銘だ。暖かな春風に吹かれてはその薄紅色の花びらをハラハラと優雅に空中の中を踊り続けている。

そんな景色を見ながら私はドキドキしていた。それと同時に仕事にも集中出来ずにただ、その時を待っていた。

…もう直ぐだ。