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ーーーーー…多?
「叶多」
重たい瞼を開ける。
心地よい声で名前を呼ばれて視界に映るのは…、
「由依子さん?」
どうやらソファで眠っていたらしい。
「うわ、ごめん寝てた!」
「いいよ、それより風邪ひくよ」
と、ブランケットを優しく身体にかけてくれる。柔らかな陽射しに包まれながら愛おしい彼女の気配を感じていたからか昔の夢を見ていた。
全てを失ったと思いながら過ごしていたあの日、希望を与えてくれた由依子さんの気持ち。
こうして無事に結婚して夫婦になったけれど、由依子さんにとって今の自分はどう映っているのだろう?
そっと手を伸ばして大きく膨らんだ由依子さんのお腹に触れる。
「予定日過ぎてるんだけどね」
困ったように笑う彼女に微笑み返す。
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