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待ち遠しい新しい命はまだまだ自分達を焦らすらしい。はたまた由依子さんの中が余程心地よいのだろう。
でも、早く抱き締めたいよ?と再び大きなお腹を優しく撫でる。
「そうだ、叶多」
「うん?」
「指輪抜いてもらえるかな?」
「……うわ…嫌な思い出…」
由依子さんと一度別れたあの日を思い出す。より鮮明なのは先程まで見ていた夢のせいだろう。
差し出された左手の薬指を見ると結婚指輪が指に食い込んでうっ血している。
こんなになるまで気付かなかったのかと思うと少しだけ落ち込む。
洗面室へ行き石鹸を泡立てながら指輪を動かしていくがなかなか外れない。
まるで指輪がそこから離れたくないと訴えているようだ。
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