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細い手首。細い指。
こんなに小さい身体の中には大切な命が2つ。不思議な感覚だった。
「由依子さん?」
「ん?」
「俺と別れた4年間、なんで待っていられたの?」
「え?」
それを言ったら自分自身もそうなのだが。
うーん…と悩んでるわりには幸せそうに笑う。過去を懐かしむように。
「よく、扉が閉ざされたら終わりだなって思うじゃない?正直、あの時は終わったなって、どうにでもなれって思ったけど」
「すみません…」
「でも、本当は扉が閉ざされた瞬間にまた別の扉が同時に開かれているものなのよ」
……自分は閉ざされた瞬間に全てを失い絶望していたというのに。
彼女のこの何処までも直向きで決して立ち止まらず前へ前へ進む姿が周りを魅了して止まないのだろう。
自分もその一人だ。
「で、その別の扉を開いた先にも叶多がいただけ。全然不思議ではないでしょ?」
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