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「そっか」
「そうだよ。理由つけて叶多を好きになった訳じゃないしね」
「え?」
「理由なく叶多しかいないって思ったから。だから信じて待ってた」
「……」
「それが人の心ってものなんじゃない?」
「あ…」と、二人の声が重なり由依子さんの指から結婚指輪が抜けた。少し残念そうにその指輪を見つめている。
その姿を見て徐に彼女の手を掴みリベングのソファに座らせる。未だに由依子さんに掛けられている首輪のチェーンをそっと外して、そして自分の結婚指輪も外して。その首輪のチェーンに今しがた外した指輪を通してあげた。
自分の首にもある首輪にも同様にする。
「少しの間だけだよ」
「これかも…」
「うん?」
「理屈っぽく言ってても、これがあったから待ってられたんだね」
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