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最後に身体を重ねた後にかけてあげた自分の指輪のついた“首輪”。
今となっては自嘲的に笑ってしまう。
あの頃の自分が出来る最後の悪足掻きを。
そんな格好悪い事でさえも受け止めて待っていてくれた由依子さんが本当に愛おしくて、優しく髪を掬うように撫でる。
「……?」
「どうした?」
「あ……あれ?」
由依子さんは何故か真顔で自らの手をお尻の方へと移動させる。みるみるうちに顔は青ざめて…、
「……破水、したかも…?」
「え!?」
「どうしよう!えっと…、えっと…」
「由依子さん!」
「や…どう、しよう…」
「由依子!」
慌てる彼女の両手を掴み、再びソファに座らせる。いくら本や病院で見聞きしてはいるが流石に自分がいざその時を迎えるとなると混乱は付き物だ。
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