おまけ1……莉乃ちゃん物語

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その男の子は同年代に比べてとても小さく、そして何時も何故か笑っていた。 小学校1年生だからといって平和な世界ではない。寧ろ無邪気だからこそ倫理や道徳なんて無視した国が造り上げられるものだ。 そう、その小さな国では痩せ干そって何時も笑顔の“北川叶多”はかっこうの餌食だった。 靴や教科書が隠されるなんて日常茶飯事。「汚い」「お化け」「気持ち悪い」などの暴言が飛び交い、仲間はずれも当たり前。それでも怒ることなく、泣くわけでもなく、ただ笑っている姿が印象的だった。 誰も助ける事はなかった。 私も自分がそうならないように見てみぬ振りをして、そうして過ごした1年間。 2年生進級時にはクラス変えがあり、それ以降北川叶多との接点は皆無だったし、クラスが離れた事もあり、小さな心に芽生えてた恐怖心と正義感の狭間でさ迷うことなく平和に過ごせた。
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