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パサッと頭上から何かが私の頭を覆ったのだ。「え?」とそれを掴み見ると同じ1学年が着る色のジャージ。
見上げると二階へ続く階段の手摺には頬杖をつきながらこちらを見る男子。
幼いながらにとてつもなく綺麗な男子だった。吸い込まれそうな色素の薄いビー玉の様な瞳が瞬きさえも奪っていく。整い過ぎているその顔をくしゃっと崩して笑う姿がまた違う魅力を私に感じさせる。
「それ。使えばいいよ」
そう一言残してその男子は二階へと姿を消した。
哀しかったはずなのに何故かその時の私はドキドキしていて、遂に頭までイカれてしまったのではないかと思う位にその場から動けなかったのだ。
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