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三井さんが私に手を上げてそのまま叶多と一緒に出向いてくる。
三井さんは知っている。私と叶多の関係を。
それを証拠に面白そうにキュッと口角を上げた。
「菊池。北川叶多君だ。今日からニューヨーク支社から本社の海外事業部に異動になる」
「営業部広報課の菊池由依子です」
彼氏に挨拶するのはなんとも複雑である。そんな叶多は満面の笑みで手を差し出した。
私の大好きな手。
本当に久し振りに触れられる……と手を伸ばしたその瞬間、
「は、初めまして!!」
左脇から女子社員が割って入り、それを皮切りに次々と叶多の周りを女子社員達が囲む。私は…というと、
「菊池…大丈夫か?」
見事にその輪から追い出され、その勢いに体勢を崩し、床に転がっていた。
私課長何ですけど!!
広報課で一番偉いんですけど!!!!
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