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公私混同は避けたいけれど、私が誰よりも先に叶多と握手したかった。
「ちょっと、すみません」
叶多は未だに崩れている私を見兼ねてかスッと手を伸ばし、躊躇いもなくその腕を両脇に入れ、軽々と身体を持ち上げてくれた。
以前よりも逞しくなったその腕に心臓が止まるかと思った。口元が動く。
「大丈夫ですか?」
“由依子さん”
不敵に笑い、容赦なく私の心をさらっていく。私は一体何時まで、叶多にドキドキするのだろう。慣れる事を知らない気持ちは膨れあがるばかりだ 。
そんな一連の行動を目撃した女子社員の動きは止まっていて、そして我に返る。
「ちょ…何今の!!」
「課長のくせに!!ズルイ!!!」
「そうよ!!課長のくせに!!!!」
…“課長のくせに”の意味がわからん!!!!!
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