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 そう、いつか。いつか。いつかと言いながらもう随分と時間が流れて仕舞った。中高一貫の女子校に通っている私にとっては、同年代の男子との出会いというものはそうそう巡ってこないのだった。それもそれで、いいものだと割りきっていたけれど。  水、それが私の名前。読み方はみず、そのままである。まっすぐなこの名前、両親のセンス、なかなか気に入っていた。妹の名前は陽。読み方は、そのままに、ようである。水と陽。対極にあるように見えて実はとても近い、水と太陽。男の子が生まれても、女の子が生まれてもいいように、結婚当時から話し合って決めていたのだそうだ。  運動が苦手な私でも、水泳だけは誰にも負けなかった。というより、負けたくなかった。
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