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「はい、今日の授業はここまで」
「ふぁ~、やっと終わった~ぁ、先生の授業かったるいもん……」
「濱崎くん、プリント追加ね♪」
「そりゃないぜ先生!?」
楓は、濱崎と呼ばれた生徒が先生に縋り付く姿をボ~ッと見ていた。
6限目の授業が終わり、後はSHRが終われば帰るだけである。
「今日どこ行く?」
「駅前に新しくできたクレープ屋行こうよ!」
「今日も部活か……、まぁ、レギュラーなれるように頑張れよ」
「うるせぇ、どうせ俺にはなれませんよ~ぉだ!!」
なんて会話が周りではあちこちに飛び交っている。
そんなものに興味はない楓は黙って帰り支度を始める。
「ねぇ」
ふと、隣から声が聞こえた。
その瞬間楓は目を点にさせて身を強ばらせた。
「ねぇっ、てば!! 聞いてるの!?」
「只今真辺楓は身支度中につき、外部からのかんし……いぎゃぁ!?」
背中を思いっきり叩かれ変な声が出てしまった。
背中を擦りながら振り向くと、女子生徒が頬を膨らませてこちらを見ていた。
「まったくもぉ。何ですぐに振り向かないのよ!!」
彼女の声が鼓膜を激しく揺らす。
「そんなすぐに振り向け……」
「そんなことはどうでも良い!! 私は貴女のその性格が一番気に食わないのよ!!」
(お前が聞いてきたことだろうが……)
耳元で大声を出されて鼓膜を押さえた楓は溜め息を溢した。
(どうしてこんなことに……)
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