嫌われ者で落ちこぼれ

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「バレル・ゼノン……このアルテジアで唯一火属性の魔術を発現させた魔術師。 赤目の魔術師」 確か若くして火の魔術を発現させて、当時は有名な魔術師だったらしい。 それがどう道を踏み外したのか、一国を滅ぼした大罪人になってしまったという。 たった一夜で国を焼き尽くしたと授業では習った。 「それから火の魔術は外法とされ、それ以来発現者も見つからなかったため魔術の属性からはずされた………」 そして、それから赤目差別は始まった。 『目の赤い人間は人を焼き殺す』と誰かが言った。 『目の赤い人間は大罪人バレル・ゼノンの血筋だから殺せ』と誰かが言った。 そうして“赤目狩り”がはじまった。 今でこそ差別は緩まったにしろ、バレル・ゼノンの暴れた直後は赤目は人として扱われることはなかった。 ちなみに言うと、赤目の人が火の属性の魔術を発現するなんてことはない。 ただ、発現したバレル・ゼノンが偶然赤目であっただけなのだ。 「バレルが暴れたのは数百年前のことなのにまだ差別が残ってるなんてな……」 これは俺の心の叫びかもしれない。 もう諦めていると自分で思っていたのに俺はまだ嘆いてるのか?
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