59人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほらほら! かかってこいよ!!」
嫌だ、とは言えない。
そう言ってしまえば、この形だけの『戦闘練習』は『一方的な暴力』へと様変わりするのはわかっている。
相手の男子生徒の言葉には答えず、大怪我をしないようにと考慮され授業で使われる木刀を杖代わりになんとか立ち上がる。
木刀による殴打により身体中が痛い。
「ははっ! タフだな、落ちこぼれ。 赤目のくせに!!」
カッと頭に来たが、俺はそこに立ち尽くす。
赤目がなんだっていうんだ。
俺が何をした?
……考えたって無駄か。
それが差別ってものなんだから。
「おうおう、そんなに睨むなよ。 燃えちまうだろうが! ハハハハハッ!」
相手の男子生徒とその取り巻きは汚く笑う。
『赤目に睨まれると体を燃やし尽くされてしまう』
もはや今の世に生きる人々の固定観念だ。
そんな芸当はできないというのに。
「なあ……まだやるのか?」
いい加減体が持たない。
それにほぼ毎日こうして昼休みに戦闘練習という名のいじめを受けているが、今日は一段と長く、きつい。
いつもなら、とっくに飽きてどこかへ行ってくれるのに、今日はやたらとしつこい。
「ああ? 文句あんのかよ、赤目の分際で!! この世界最悪の殺人鬼の末裔が!!」
プツンと何かが切れた。
それと同時に本当に燃やし尽くしてやりたいと願い相手を睨みつけ、無計画に突っ込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!