嫌われ者で落ちこぼれ

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その時、屋上の入口のドアが開いた。 そこから出てきた小柄な少年は辺りをキョロキョロと見回していた。 「あっ! アランとメーア! こんなとこにいたんだ! 探したんだよ!」 俺とメーアの嫌悪なムードには気付かずに笑顔でマークは近付いてきた。 「こんな奴放っておいて行くわよ、マーク」 メーアはそれを遮り、無理矢理マークの手を引いてドアへと歩いて行った。 「えっ……ちょっとメーア!? どうしたの? ねえってば!」 マークの抵抗も虚しく、マークは引きずられるように連れて行かれてしまった。 「あ~疲れた。 なんもかも上手くいかないなー」 鉄の柵の側にあるベンチに腰を下ろし、空を仰いだ。 特にやることもないのでそのままボーっと空の青を眺める。 「アルテジアの魔術を形作るのは水・雷・風・土・光・闇・無で火は含まれない……だったか」 ずっと前に授業で習ったことを口にする。 「このアルテジアでは普通、火の魔術は発現できない。人が 生まれ持つ属性に“火”は存在しない。 歴史上一人の例外を除けば」 目を閉じて、授業の内容を反芻する。 口に出す必要はないのだけど、なんとなくやることもないので口に出して復習をする。
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