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沙織の自殺未遂。
大学三年生になったばかりの五月下旬だった。
……ピツピィーーピィーーピィーー……
午前三時、突然、電話の呼び出し音が鳴った。
今日子は枕元の受話器を取り上げた。
「もしもし 西野沙織さんのお母さんですか? 」
「ええ、そうです」
「東京のA署ですが、大変です。
娘さんがW大学の近くにある神社で、手首を切って血だらけで倒れていました。
通りかかった人が見つけてくれて、今、救急でA病院に運ばれて入院していますが、出血が多量で重体です
至急、こちらに来てください」
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