一 そして、過去へ

3/18
前へ
/228ページ
次へ
沙織の自殺未遂。 大学三年生になったばかりの五月下旬だった。 ……ピツピィーーピィーーピィーー…… 午前三時、突然、電話の呼び出し音が鳴った。 今日子は枕元の受話器を取り上げた。 「もしもし 西野沙織さんのお母さんですか? 」 「ええ、そうです」 「東京のA署ですが、大変です。 娘さんがW大学の近くにある神社で、手首を切って血だらけで倒れていました。 通りかかった人が見つけてくれて、今、救急でA病院に運ばれて入院していますが、出血が多量で重体です 至急、こちらに来てください」
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

333人が本棚に入れています
本棚に追加