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化粧室に着いた俺は何時ものようにメイクの青木さんと、衣装の中居さんの手によって白雪に変わる。 それが終わると母親に今日の撮影のないようを聞いて、俺は相手役の名前に顔をしかめた。 「櫂って今、高校生にしてトップモデルのだよな?」 「そうよ、まさか櫂と共演出来るなんて!白雪も人気が出てきた証拠ね」 「本当ですね!」 母親と一緒に喜ぶ青木さんと中居さんに、俺は苦笑いを向ける。 櫂っていうモデルにはいい噂は聞かない。かなり遊んでいるって伊織が昔に言っていたのを思い出す。 共演するわけだし、気を付けようにも無理だな。 「さぁ、行くわよ白雪!」 「はいはい」 すっかり慣れたヒールの靴で歩いてスタジオに入ると、たくさんのスタッフさんが撮影の準備をしていた。 「白雪です、よろしくお願いします!」 俺は挨拶をして、撮影の内容の確認をする。新しい香水の宣伝の撮影であり、女性用のピンクと男性用のブルーの香水を使っての撮影だ。 櫂が雑誌の撮影で遅れるため、先に俺がピンクの香水を持って撮影することになった。 「ピンクは恋の薫りよ、だから恋する乙女を意識しなさい」 「恋する乙女って言われても…」 俺、男だし。 カメラを向けられて、取り敢えず俺は目の前に好きな子がいると思って表情を作った。 何枚か撮られた後に「白雪ちゃん、いいよ!」とカメラマンに言われて、香水を顔の前で持ち、目だけカメラに向ける。 「白雪、最高!」 母親の興奮する声に苦笑いしそうになるのを必死に堪えて、カメラに挑発するような視線を送る。 「白雪さん、オッケーです!」 やっとピンの撮影が終わると、櫂が来るまで撮られた写真を見ながら、どれを使うのか母親と話していた。 .
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