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あの日はまだ高1になったばかりだった。中学の時から男に色目を使われていた俺は、この女顔が嫌いで伸ばした前髪と伊達眼鏡で顔を隠していた。 でも勉強はそれなりに出来ていたから、都内の共学の進学校に入学することが出来て、優雅なスクールライフを送っていた。 そんなある日の帰り道、俺の母親である吉川千晴から電話が来た時に何か嫌な予感を感じた。 「もしもし」 {あ、真白?今どこにいるの?} 「学校付近だけど」 {そこにいて!今から迎えに行くから} 焦っているような母親を仕方なく待っていると、車が俺の前に止まって母親が眉間に皺を寄せた顔で「行くわよ」と言った。 訳が分からないまま車に乗り込んで、向かった先は有名な芸能事務所。 「ちょっと母さん!?なんでこんな所に…!」 「緊急なのよ!」 母親の勢いに負けてしまった俺は、嫌な予感を抱えたまま着いていくしかなかった。 俺の母親はあの有名な如月グループが立ち上げた芸能事務所の社長の秘書をしている。今、話題沸騰中の若社長である如月葵の秘書だ。 「社長、連れてきました」 「そいつが吉川の息子か?」 「あ、吉川真白と言います」 無理矢理連れてこられた場所は何かの撮影スタジオで、たくさんのスタッフやら何やらで賑わっていた。 それに初めて生で見た如月葵は、モデルのようにスラッと高い身長と綺麗な金髪で今まで見た男の中では断トツで一番かっこいい人だった。 .
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