他愛もない嘘

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『ぼ、僕、お金なんて持ってないです』 少年は顔を真っ青にしてズボンのポケットに何も入ってないことを必死でアピールしたが 『嘘ついてんじゃねえよ!!』 と、それを聞いたヤンキーの一人が近くにあった青いゴミ箱を蹴り飛ばした。 その発言に鷺の眉毛がピクリと動いた。 『ほ、本当に持ってないんです』 今にも泣き出しそうな顔で、少年はその場で土下座し始めた。 『土下座して済むとでも思ってんのか?』 少年の胸倉を掴んで持ち上げヤンキーが殴りかかったときだった。 『おい、俺にそのガキこの金で譲ってくれないか?』 細い路地の入口で鷺はそう言って財布から万札を十枚程取り出して見せた。
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