7人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
そんな店の中央には、豪華な着物を着た美しい女性が足を崩し、煙管を吹かしながら退屈そうに街行く人々を見ている。
【梅里屋】の主人、柏木梅(かしわぎうめ)。
見た目は二十代前半頃に見えるが、齡(よわい)二百を越える化け猫。
梅は気紛れな性格で、仲が良いお気に入りの友人達には無料で情報を流す。
だが、好かない新参者や他人には情報を流す変わりに高額な料金を貰う。
後ろ髪が短く、桃色の髪で左右の髪が肩まである長さ。
申し分無い見事な体つきに、着物を着崩して着ており訪れる客を魅了させている。
だが、桜は決して色を売らずあくまでも与えるのは情報のみだ。
「梅様!!庭掃除終わりました!!」
そこへ少年が元気良く駆けながら梅の前にやって来た。
紫色の肩まである髪を一つに結わえ、茶色の着流しを着た小柄な少年。
草むしりでもしていたのか、両手には泥が所々着いている。
小吉(しょうきち)。見た目は十代後半頃に見えるが、齡八十を越える化け猫。
かつて、人であったが飢え死にしても死に切れず妖怪となり、さ迷っていた所を梅に拾われた。
最初のコメントを投稿しよう!