ネオンに咲く傷ついた蝶々―2―

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頼むから泣かないで。 君の傍に居るのは 彼氏だった男じゃなくて 僕なんだから。 僕を 『僕が居るから』 …見て。 「ずっと一緒に居るって言ったのに! あたし一人ぼっちになっちゃったよぉ!」 違うよ、君は 『零は一人じゃないよ?』 一人なんかじゃない。 「どうして?どうしてこんな…っ!」 もうこんな零を見てられない。 シートベルトを外すと 僕は初めて彼女を抱き締めた。 「……っ」 きっとずっと こうしたいと思っていた。 『零は一人じゃないから そのために僕はここに来たんだよ』 誰よりも君を僕は愛している。 「…ふ、ぁ…ひで…き…うっ」 口にはしなかっただけで もっと前からそう思っていた。 零はそれを知っていたかな? 二回、三回と あの店に行って君に会う度 女性が苦手で もう恋だの結婚だなんて しなくても構わないと 投げやりになってしまっていた僕の 固く閉まった心の鍵が 少しずつ解けていったのを。 しかもそれはとても自然で 時に怖くなってしまうくらい早く だから本当の気持ちとは裏腹に 必死にブレーキをかける自分が居た。 だけど無駄だったみたいだね。 お手上げ。 僕は君が好きだ。
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