ネオンに咲く傷ついた蝶々―1―

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「天国に逝くかも」 それは僕が彼女に送ったメールの返事 たった一言なのにあまりにも突発的で でも冗談とは思えなくて笑えなかった。 『バカなこと言ってんな!いまどこ?』 メールで怒鳴ったって 通じる訳はないのに…。 プルルルル プルルルル 一分も経たぬ内に 無機質すぎる着メロが部屋に響く。 慌ててメールを開くと まるで茶化すような内容で (埒があかない!) そう思った僕は アドレス帳を開いてページを送った。 (あった…) そして画面に写ったのは ―零― 本名すら未だ知らない 一人のキャバクラ嬢の名前と番号だった。 僕はとある会社で働く 34歳の普通のサラリーマン 勤め先はちょっと名前を出せば 誰もが知っている一流企業だが 別に他人に自慢したりはしない。 数年前には妻も居たが 現在は離婚して独り身である。 …この頃の僕は 女性がとても苦手だった。 詳しくはまたいずれってことで 今は明かさないが いわゆる女性恐怖症ってヤツだ。
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