ネオンに咲く傷ついた蝶々―1―

3/4
前へ
/20ページ
次へ
繰り返される日常の中で 僕にあるのは仕事だけ。 ただ「あの事」を忘れるためだけに がむしゃらに働いていた。 そんなとある日。 会社帰りに上司から誘われ 横浜にある某キャバクラへ 僕と上司を含めて4人で向かうことに。 勿論女性が苦手な僕は とても乗り気にはなれず かといって上司の誘いを 無下にも出来なくて ほぼ強制的に連れていかれた。 ――夜のネオン街 駅から少し歩いた場所に そのキャバクラはあった。 扉を開けると 少し薄暗い店内が飛び込んできた。 すぐさま店長らしき男がやってきて 軽く頭を下げるなり 「4人ですか?ご指名は?」 とこちらを伺ってきた。 数回ここに来ていたらしい上司は 慣れた様子ですぐさま女の子を指名し 初来店だった同僚と僕たちは 案内されるがままにホールへと通された。 席に着くなりマイクコールがかかり それに併せて 「いらっしゃいませ!」 威勢の良い声が響いてきた。 しばらくすると 奥からぞろぞろと女性陣が現れ あっという間に席は賑やかになった。 端に腰かけていた僕は 両脇をコンパニオンに挟まれる。 左は比較的おとなしめなのに対し 右はずいぶんとキャピキャピしていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加