0人が本棚に入れています
本棚に追加
童顔なのもあるが
このメンバーの中では
一番若いと言うことが分かる。
それからどうでもいいが
やけに密着して話してくる。
パッと見苦手なタイプだったが
でもなんでだろう
一瞬胸が高鳴った気が、した。
…これがキャバクラ嬢零との出逢い。
呼び出し音が数回なったところで
「はい…もしもし」
明らかに元気のない零が出た。
『零?今どこ?』
ケラケラと笑う声が聞こえる。
その声には全く覇気がなかった。
「な~いしょ、あははっ」
だけど彼女は
あくまでも平然を装う。
(アホ…僕には分かるのに)
『何があったの?話して?』
ずいぶんと長い間が空く。
沈黙に耐えられず口を開こうとすると
「……彼氏に、捨てられちゃっ…た…」
頭を鈍器で殴られるような一言が。
(やっぱり彼氏居たのか)
『…今どこ?場所教えて?』
正直ショックだった。
でも今は彼女を
「○○駅」
なんとかして助けなければいけない。
『そこ動かないで、いいね?』
何故なら受話器から聞こえる声が
「…うん…」
『今からすぐ迎えに行く』
すぐにでも
消えてしまいそうだったから。
電話を切ると
僕は荷物も持たずに家を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!